進学には、授業料など多額のお金が必要になります。
そんなときに便利なのが奨学金ですが、奨学金は貸与してもらった場合に返還の義務が生じます。
「奨学金を返済し忘れてしまったらどうなるんだろう・・・」「将来返済するだけの給料が得られなかったらどうしよう・・・」と、進学前の生徒の方であれば不安に思われるかもしれません。
令和3年度の調査によると、我が国の大学等で学ぶ学生364万人のうち、116万人(31.8%)が日本学生支援機構の貸与奨学金を利用しています。そのうち、第一種奨学金が約47万人、第二種奨学金が約69万人です。
要返還債権に対する3ヶ月以上延滞債権比率は、2.7%となっています。平成29年度以降減少傾向にあります。
当記事では、滞納したときのリスクや対応方法についての解説をしていきます。また奨学金を返さなくて良いケースについてもご説明するので、奨学金の返還について知りたい方は是非参考にしてみてください。
また、ガクシーでは充実した奨学金検索機能や、アカウント登録後のリマインド機能から、あなたに合った奨学金を見つけ忘れずに申し込みをするところまでサポートしています。
申し込みの期日のリマインドや、お得な奨学金情報は会員登録をすると受け取ることができます。 是非登録してお得な奨学金情報を漏らさずチェックしてください。
▼会員登録する
https://gaxi.jp/auth/login
奨学金の返還を滞納してしまったときに起こりうることとして、大きく分けると、次の3つの事態があげられます。こちらの章では、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
約束の返還期日までに返還されないと、延滞金が課されます。令和2年3月28日以降は1.5%の割合を乗じて計算した額の合計額が賦課されます。
同じように延滞金が発生する仕組みのあるクレジットカードよりは金利が低めにはなるものの、支払いはより困難になるため注意が必要になります。
支払いをせず3カ月を過ぎてしまうと、個人信用機関に登録されることになります。簡単に言うと、「ブラックリスト入り」をするということになります。登録をされると、金融機関から信用度が低いとみなされることになり、必要なときにお金を借りることができません。
そのため住宅ローン・自動車ローンを組みたいときや、日頃の支払いを円滑にするためのクレジットカードを作成・利用したいときなどに審査をクリアできず、お金を借りる契約をすることができない事態になってしままいます。
情報はあくまで金融機関のみに共有をされるため、友人などに知られるようなことはありませんが、登録情報が消えない限りこの弊害は続きますし、そのあと起こる事態も大きいため早めの返還が必須です。
延滞期間が長期化すると、日本学生支援機構では3ヶ月で個人信用情報機関への登録、延滞4か月から9か月までの間、債権回収会社(サービサー)に回収業務が委託され、個別の返還指導や返還期限猶予制度の案内などが行われます。
債権回収会社による個別返還指導を経ても、連絡も取れず、入金も返還期限猶予制度の申請もない場合は、「裁判所へ支払督促申立をする」旨を予告する文書が送られます。それでも返還猶予の手続や入金がない場合には、裁判所への手続が執られることになります。
差し押さえをされる対象は給料や、不動産・家財道具などの財産で、拒否することはできません。また差し押さえ対象は自身だけでなく、連帯保証人の財産も回収されることがあります。
貸与奨学金は借金なので、返還義務があります。
長期間延滞すると訴訟になり、財産の差し押さえや最悪自己破産に至る場合もありますので、延滞を軽くみてはいけません。
奨学金の返還は、上の章でも解説したように非常に大切です。しかし中には病気で仕事が出来なくなったり、突然の解雇などで失業をしたりして、経済的に困窮をしてしまう方もいます。また災害に見舞われてしまい、返還が出来かねる状況になる方もいると思います。
日本学生支援機構では返還が困難になった人に向けて、救済措置がいくつかあります。ここでは次の2つの救済措置について詳しく解説します。
延滞する前に日本学生支援機構に余裕を持って相談しましょう。
現在支払いが負担で困っている方や、今後に備えて情報を得たい方はお目通しください。
まずは奨学金を借りた機関に相談をしましょう。日本学生支援機構では、「奨学金相談センター」(ナビダイアル0570‐666‐301)を設けています。救済措置として「減額返還制度」や「返還猶予制度」がありますので相談しましょう。
例えば、『毎月、10,000円を返すのは厳しいけれど、半分の5,000円なら返せるんだけど…』といったっ場合に減額返還制度が利用できます。
減額返還制度とは、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、願出により月々の返還額を1/2または1/3にする制度です。返還金額の総額は変わりませんが、返還期間は長くなります。
一回の申請につき適用期間は12か月で、最長15年(180か月)まで延長可能です。所得連動返還方式を選択している場合は、利用できません。
ひと月あたりの返還の負担が軽減されるため、制度利用前と比べて無理なく確実に返還できます。延滞すると審査できませんので延滞をする前に願出ましょう。
なお、減額期間中に2回続けて振替不能になった場合は、延滞発生時に遡って減額返還の適用が取り消しになりますので注意しましょう。
また返還猶予制度とは、災害、傷病、経済困難、失業、生活保護受給中などの返還困難な事情が生じた場合に、願出により返還期限を猶予する制度です。1年ごとに願い出が必要です。(延滞している場合は、延滞開始年月より1年(12か月)ごとに猶予願・証明書を提出する必要があります。)
返還期限猶予制度を適用できる期間は通算10年(一部事由により制限なし)です。先延ばしにした分返還完了は遅くなりますが、利息を含めた総返還額は変わりません。
ただし、どちらの制度も利用するにあたって、以下の収入基準に当てはまっている必要があるため、事前に確認をしておきましょう。
・収入基準
また、死亡、精神・身体の障害によって返還ができなくなった場合に、願出により返還を免除する制度があります。このほかに、大学院で受けた第一種奨学金については、「特に優れた業績による返還免除制度」を設けています。
自己破産を申請し許可を得ると、簡単にいえば「借金をなしにする」ことができます。借金をゼロにし、経済的にリスタートをすることが可能です。
借金をゼロにするには、借金の返済義務を免除にするという意味合いの「免責許可」を得ることが必要です。裁判所に申し立てをし認められることで、免責許可を得ることができます。ただし申し立てをした方の全員が必ず免責を受けることができるという訳ではなく、元から返済をする気がないような借金や、自己破産を前提とした借金の場合は許可が下りないこともあります。
また自己破産をすると滞納したときと同じように、個人信用情報機関に登録されてローンを組む・クレジットを利用するといった、お金を借りる行為ができなくなることは覚えておきましょう。
保証制度で人的保証を選択した場合、本人が自己破産しても連帯保証人や保証人の責任は免れません。このような事態に備えて保証人制度は機関保証にするとよいでしょう。
ここまで、奨学金の返済について気をつけることや対処法を解説してきましたが、奨学金の中には返さなくてもいいものがあったり、返済を支援するような制度があったりします。こちらの章では、以下の3つを紹介します。
給付型の奨学金とは、返済義務のない、奨学金自体がもらえるようなものになります。ただし給付型の奨学金をもらうのには、厳しい条件をクリアする必要があります。条件としては成績や家計の状況など様々ありますが、返済義務がないという分、ハードルは非常に高くなっています。
日本学生支援機構の給付奨学金は、住民税非課税世帯及びそれに準じる世帯の学生が対象です。入学金・授業料の減免とセットになっているのが特徴です。
ただし、退学、除籍、無期停学又は3か月以上の停学の場合や学業成績が著しく不良でやむを得ない事由がない場合は、支給済みの給付奨学金の返還を求められる場合もありますので留意してください。
日本学生支援機構が提供する「給付奨学金」は、多くの学生に利用されている給付型の奨学金の一つです。2020年にはリニューアルされ、さらに便利なものとなっていますので、詳しく知りたい方はこちらのコラム【奨学金の新制度】2020年からリニューアルされた日本学生支援機構の「給付奨学金」とは?をご覧ください。
企業の奨学金返還支援(代理返還)制度とは、返す必要のある「貸与型奨学金」を利用している人に対して、勤務先企業に返還を代わりにしてもらえるという制度です。企業が返還を肩代わりしてくれることで、社員側として働くモチベーションにもなり、企業側も離職防止や人材確保などのメリットの恩恵があるため、昨今では導入する企業が増えています。
なお、地方公共団体と地元の産業界が協力して地元企業に就職した人に奨学金の返還を支援するしくみもあります(地方公共団体による奨学金返還支援制度)。
この制度についての詳しい解説はこちら【奨学金は企業が代理返還してくれる?】注意点やメリット・デメリットを紹介をご覧ください。
特定の条件を満たすことで、返還額の一部もしくは全額が免除される制度があります。主に医療・福祉系を目指す学生の就学支援制度は指定の養成施設卒業後国家資格(※)を取得し、指定された施設で一定期間勤務すれば貸与された貸付金は返還免除となる制度です。志望校や、勤務先の奨学金制度について事前に情報収集をしておくと良いでしょう。
※対象資格例
医師、薬剤師、看護師、理学療法士、社会福祉士、介護福祉士、保育士など
志望校や、勤務先の奨学金制度について事前に情報収集をしておくと良いでしょう。
日本学生支援機構では、「死亡、精神もしくは身体の障害による免除」や「大学院第一種奨学金の特に優れた業績による免除」があります。
奨学金を利用することで、経済的に困窮した学生が進学を実現することができます。しかし奨学金は借金と同じなので、返還には義務がつきものです。返済できなかったときのリスクは大きく、滞納すると「返還額が増加する・ブラックリスト入りをして新たに借金ができなくなる・差し押さえをされる」といったことが生じます。
しかし中には病気・失業・災害など致し方ない理由で返還ができない状況になる方もいるでしょう。そのような方に向けて、日本学生支援機構には、返還の期限を先送りにする制度や、期間を伸ばしてひと月あたりの返還額を減らす制度を設けています。
状況を改善できる可能性があるので、まずは奨学金の期間に相談をしてみましょう。また相談をしてこれらの方法で解決できない場合は、法的な手段として「自己破産」をすることになります。
しかし一番は、滞納をしないことです。奨学金の中には返済義務の生じない「給付型」の奨学金や、企業が返済を肩代わりしてくれるケース、返還額の一部もしくは全額が免除される制度があります。これらを利用したい方は事前に情報収集をしておきましょう。
ガクシーでは充実した奨学金検索機能や、アカウント登録後のリマインド機能から、あなたに合った奨学金を見つけ忘れずに申し込みをするところまでサポートしています。
申し込みの期日のリマインドや、お得な奨学金情報は会員登録をすると受け取ることができます。 是非登録してお得な奨学金情報を漏らさずチェックしてください。
▼会員登録する
https://gaxi.jp/auth/login