テーマパークの経営・運営を通じて多くの人々に感動や喜びを届けてきた株式会社オリエンタルランドが『一般財団法人オリエンタルランド子どものハピネス財団』を設立し、奨学金事業を開始しました。この奨学金は、デザインや音楽、ダンスなどのエンターテイメントや食やスポーツ等に関わる専門分野を志す学生を対象とした、返済不要の給付型奨学金です。
なぜ今、奨学金事業に取り組むのでしょうか。その背景にある『子どものハピネス』という理念、そして未来のクリエイターやパフォーマーに寄せる熱い期待について、財団事務局の多田さん(事務局長)と内山さん(事務局員)にお話を伺いました。
目次
- 奨学金事業を始めた理由
- 奨学金の特徴
- 対象分野
- 選考時の評価基準
- 今後の展望
一般財団法人オリエンタルランド子どものハピネス財団
https://www.ohf.or.jp
テーマパークを経営・運営する株式会社オリエンタルランドが、2024年8月に設立。2025年8月より初めての奨学金募集を開始します。
年間100万円の給付型奨学金を最短修学年限の間、50名に給付する予定です。
『子どものハピネス』を実現するための奨学金
テーマパークを経営・運営するオリエンタルランドが、奨学金事業を始めた理由について教えてください。
多田(事務局長):
オリエンタルランドグループは、
企業の長期的な成長と持続可能な社会への貢献を両立するサステナビリティ経営
を目指しています。そのため『
あなたと社会に、もっとハピネスを。』を2035年に目指す姿として定めました。そのビジョンの中でも特に大切な課題として『
子どものハピネス』を掲げています。
「テーマパークに来て楽しい」という体験も、もちろん一つのハピネスですが、社会貢献としての『子どものハピネス』を、子どもたちが「将来なりたい姿」に気づき、その自己実現に向けて進んでいけることだと定義づけしています。
デザイナーでもダンサーでもシェフでも、どんな「将来なりたい姿」でも構いませんが、金銭的な事情などで専門過程に進むことが難しい方を支援するために、奨学金事業を始めました。将来の選択肢が広がることも『子どものハピネス』に繋がると信じているからです。
内山:
金銭的な事情は非常にセンシティブであり、学生ご本人はもちろん、ご家族に対してもなかなか触れにくい領域です。
ご自身の「将来なりたい姿」が明確に定まっているにもかかわらず、金銭的な事情などで諦めざるをえない方に、ぜひ応募していただきたいです。
夢を叶えるのは自分自身ですが、金銭的な事情は自分では解決できないことも多いです。
私たちがその部分をお手伝いすることで、「将来なりたい姿」を諦めず、未来を切り開く支援ができればと考えています。
『オリエンタルランド子どものハピネス財団』奨学金の特徴
御財団の奨学金について、詳しく教えてください。
特徴①【対象分野】文化芸術、食、スポーツなどの専門課程に注力した奨学金
多田:
奨学金である以上、学業優秀で経済的支援が必要な方という条件はもちろんあります。
しかし、この奨学金の最大の特色は支援対象者の進学先です。
この奨学金は、芸術、音楽、デザイン、調理、ダンス、スポーツ、服飾、観光、教育、福祉などの専門課程に進学する方を優先します。
専門課程に進学する方を優先としたのは、なぜでしょうか?
多田:
コロナ禍では「エンターテイメントは不要不急のもの」と位置づけられ、厳しい状況が続きました。しかしエンターテイメントを継続するには、人材こそが何より大切だと改めて気づく機会にもなったのです。
テーマパークには、踊る人、照明を当てる人、デザインする人など多様な才能を持つ人が必要です。
この奨学金を通じて、エンターテイメント業界を支える人材、さらには私たちのテーマパークを担う人材が育ってくれることを願っています。
特徴②【返済不要】年間100万円の給付型奨学金
多田:
奨学生に選ばれた方には、年間100万円を返済義務のない給付型奨学金として最短修学年限の間、支給します。
大学生であれば4年間、短期大学生は2年間、専門学校生は各学校の定めに基づいて支援を行う予定です。
貸与ではなく給付型にした理由は、専門課程で学ぶなかで返済のストレスやプレッシャーを感じずに「将来なりたい姿」へ向かって邁進していただきたいからです。
特徴③【併用可能】他の奨学金と同時に受けられる柔軟な制度
多田:
芸術系の専門課程は、そもそも授業料が高額なことが多いです。
さらに、授業料以外にも課外レッスンや専門的な道具などの費用もかかります。
そのため当財団の年額100万円の奨学金を受けた場合でも、費用が不足する場合を考慮し、他の貸与型奨学金との併用を可としました。
選考で重視されるのは『将来なりたい姿』への熱意
選考時の評価基準について、教えてください。
多田:
選考では
学力や経済状況に加え、小論文によって「将来なりたい姿」への熱意を評価します。
小論文で伝えてほしいのは「ダンスを学ぶ学校に入る」といった入学をゴールとした目標ではなく、学校を卒業した先に、プロとして「なりたい姿」を描いているかです。
選考委員はクリエイターや指導者など、各分野の専門家の方々なので、ぜひご自身の熱い想いを伝えていただきたいです。
エンターテイメントなどの専門分野の未来につながる奨学金に
貴財団としてのハピネスや、今後の展望について教えてください。
多田:
この奨学金を通して一人でも多くの『子どものハピネス』を支援していきたいです。
将来的には奨学金を受けた方の中から、テーマパーク事業に関わってくれるような方が一人でも出てくれたら、大変嬉しく思います。
それが実現することが、当財団としてのハピネスだと考えています。
内山:
今年が初めての募集のため、まだ先の話にはなりますが、奨学生の方が卒業する際には、報告書を提出していただく予定です。
その際に「エンターテイメント業界で働くことになった」「将来なりたい姿が実現できた」などの報告をいただけたら、非常に嬉しいです。また、奨学生同士の交流会なども、いずれ実施できたらと考えています。
取材後記
デザインや音楽などの芸術系の分野に進むと、学費以外にも多くの費用がかかります。
こうした分野への奨学金は少ないため、そもそも専門課程への進学自体を諦めている学生も少なくないでしょう。
オリエンタルランド子どものハピネス財団様の奨学金には「将来なりたい姿を諦めないで」という強いメッセージが込められていると感じました。
私たちガクシーも、奨学金を通じて若者の未来を応援してまいります。