受け継がれる埼玉県の財産。学びたい!をあきらめるな「本多静六博士奨学金」

calendar_today 2023-10-10 update 2024-12-07
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紹介する奨学金
埼玉県「本多静六博士奨学金」

■本多静六博士とは?


埼玉県では、本多静六博士から寄贈された森林を活用して設立した基金を基に、学生の皆様の進学等に必要な費用を「本多静六博士奨学金」として貸与しています。

奨学金の名称にもなっている「本多静六博士」は、江戸時代末期の慶応2年(1866)現在の埼玉県久喜市に生まれました。

明治32年(1899)日本で初めて林学博士の学位を取得し、東京帝国大学農学部の教授として、明治・大正・昭和時代にかけて、日本を代表する林学の専門家として活躍しました。
また、日本の造園学の基礎を築いたことでも知られており、全国各地の公園の設計を手がけ、国立公園の創設にも尽力したことから、「日本の公園の父」と呼ばれています。
この他、本多静六は、自身で考案した倹約と貯金法を生活の中で実践し、ばくだいな富を築いた資産家である一方、それらの貯蓄を育英事業などで惜しみなく社会へ還元した社会活動家・慈善活動家でもありました。
昭和27年(1957)85歳で亡くなるまで、生涯を通じて376冊の編著書を著しました。 その中には、自身の経験に基づいた処世訓を数多くのこしたことでも知られています。

■本多静六博士の生い立ち


村役人を勤める裕福な農家に生まれた静六は、身体が丈夫で、ガキ大将として活発な幼少期を過ごしました。
静六が6歳のころ、地元の学校に入学し、読み書きを習い始めますが、勉強嫌いのため、学校の境内や本堂を遊び場にしていたといいます。
そんな静六に転機が訪れたのが9歳の時でした。 父が急死したことにより、一家の生活は困窮して厳しくなり、学校のかたわら、家業の農作業を手伝うようになりました。
家庭が困窮したことで、かえって静六は学問が好きになり、学問で偉い人になろうと思うようになったといいます。

農繁期には実家に帰って農作業の手伝いをしながら、わずかな時間をみつけて勉強に励む日々を送り、明治17年(1884)17歳のとき、静六は東京山林学校(後の東京帝国大学農科大学、現在の東京大学農学部の前身)に入学します。
入学当初、レベルの高い山林学校の勉強についていくことができず、最初の期末試験に落第してしまった静六は、自殺をはかるものの死にきれず、思い直して必死に勉強し、ついには最優等生となりました。
この結果、人間は努力さえすれば、必ず成功すると固く信じ、一心不乱に勉強に励みました。  

そして明治23年(1890)、東京帝国大学農科大学の卒業を待たずにドイツのターラント高等山林学校に留学した後、ミュンヘン大学に転学して財政学を専攻し、ドクトルの学位を得ました。
やがて、帰国すると、すぐに母校の東京大学で、造林学と林政学の講座を担当し、明治32年(1899)には、日本で最初の林学博士になりました。

■本多静六博士の代表的な人生訓


◎人生即努力 努力即幸福(じんせいすなわちどりょく どりょくすなわちこうふく)

人間が生きているということは、心で考えたり、身体を動かし働かせたりすることであり、この心の働きと身体の働きを合わせて一般に努力といっています。
つまり努力は、人生の本能であり自然であり、全てです。大人の場合、この努力は、仕事(職業)を通じて、勤労という形であらわれます。 幸福の真価は、努力をしている人のみがわかるものです。

◎働学併進(どうがくへいしん)

筋肉(身体)の活動である労働と、知能(心)の活動である学問とは、一方に片寄らず並行的(併行的)に行うべきものです。
身体を使わずに、心だけを働かせていると、幸福・成功・長命の道に進むことはできません。 一生涯にわたって、この働学併進の生活を楽しむことが人生の真髄であり、幸福・成功・長命の秘訣なのです。

◎物の完全と充分とを求むる勿れ (もののかんぜんとじゅうぶんとをもとむるなかれ)

不完全・不充分が人生の真相であって、不完全・不充分であるからこそ努力の必要があります。
もし完全・充分なる天国や極楽浄土に到達してしまったとすれば、努力をする必要がなくなります。
「人生=努力」の考え方からすると、人生のなかで努力をすることは一生懸命生きるということにほかならないのです。

◎天才よりも努力(てんさいよりもどりょく)

偉大な成功者は、必ずしも生まれながらの天才ではありません。
普通の才能の人が、努力・精進している場合が多いのです。
瓦はいくら磨いても玉(宝石)にはならないという人もいますが、人間は誰でも磨けば玉になる素質を持っています。玉になる速度や難易度に差があるだけです。
一心不乱に努力・精進することで、持って生まれた個性と才能を発揮していけばいいのです。

人生訓の説明文は、博士の言葉を、現代語風にわかりやすくまとめたものです。
そのため、博士の言葉そのものではありません。
引用:本多静六記念館企画展 「“人生即努力 努力即幸福” -本多静六博士の人生訓-」 解説シート

■埼玉県から本多静六博士奨学金への思い


本多静六博士奨学金は、苦学の末に大成した博士の強い思いにより、
昭和29年(1954)に設立され、以降60年以上にわたり続いている歴史ある奨学金です。
博士は、厳しい生活の中にありながらも、並々ならぬ努力をして偉業をなした埼玉県の誇る偉人であり、博士の生き方や考え方を知ることは、
今まさに勉学に打ち込む学生の皆様の支えになることでしょう。

博士の思いを次代につないでくださるような、志高い学生の皆様からの御応募をお待ちしております。  

■本多静六博士奨学金の特徴

〇奨学金は貸与であり、貸与終了後は返還が生じます。
〇貸与予定人数:入学一時金50名・月額奨学金50名(令和5年度(令和6年度採用))
〇先着順になります。願書受付順(全ての必要書類が不備なく提出された順)に、出願資格について審査を行い、予約採用者を決定します。  
現在の予約採用者数及び補欠採用者数
〇(1)入学一時金30万円
 (2)月額奨学金3万円/月
※無利子(大学等を卒業後返還)
※入学一時金と月額奨学金は併用できます。
※他の奨学金と併用ができます。

■出願期間

令和5年9月4日(月曜日)~令和6年1月15日(月曜日)先着順(注)
(注)願書受付順(全ての必要書類が不備なく提出された順)に、出願資格について審査を行い、予約採用者を決定します。
予約採用者が定員を上回った場合、補欠採用となります。補欠採用者は、予約採用者から欠員が生じた場合に、繰り上がりで予約採用となります。

■募集案内

令和5年度本多静六博士奨学生募集案内(PDF:1,706KB)(令和6年度採用の募集案内です) ※以下募集案内から抜粋
出願資格について(PDF:254KB)
成績要件・推薦要件について(PDF:281KB)
世帯収入基準について(PDF:496KB)
連帯保証人について(PDF:291KB)※父母以外の連帯保証人を選任してください。機関保証制度はありません。
選考について(PDF:212KB)

多くの方からのご応募お待ちしております。


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