「就職一本で」と親に言われた高3の春――働きながら夜間大学を卒業できる「学生社員制度」のリアル|寶紙業株式会社

calendar_today 2026-08-19 update 2026-08-24
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大学に行きたい。でも、学費も生活費もない。親にも頼れない。進路希望の紙の「就職」に丸をつけかけている人へ、知ってほしい働き方があります。

昼は社員として働き、夜は大学に通う。入学金と初年度の学費を会社が実質支給し、住む場所や食事も用意される――紙の販売・加工を手がける寶紙業株式会社たからしぎょうかぶしきがいしゃ「学生社員制度」です。

条件だけ並べると、正直、話がうますぎるようにも見えます。仕事と学業は本当に両立できるのか。お金の工面は実際のところどうなのか。制度を使って大学を卒業したYさんと、いままさに4年生として通っているKさんのお二人に、飾らないところを聞きました。

Yさん(25歳)
寶紙業株式会社たからしぎょうかぶしきがいしゃ 業務部。学生社員制度を利用して働きながら日本大学法学部に通い、3年前に卒業。現在は社会人8年目。

Kさん(22歳)
寶紙業株式会社たからしぎょうかぶしきがいしゃ 業務部。学生社員制度を利用中で、東洋大学文学部教育学科の4年生。現在は会社が用意する学生寮に居住。

学生社員制度とは

寶紙業株式会社たからしぎょうかぶしきがいしゃの「学生社員制度」は、社員として日中(8時30分〜17時)働きながら、夜間の大学に通う働き方です。入学金と初年度の学費は会社が実質支給し、2年次以降の学費も給料から会社預かりで積み立てていく仕組みなので、まとまったお金を用意してから入学する必要がありません。住まいは会社が用意する学生寮。働く・住む・通うの環境がひとそろいになっていて、仕事や私生活、学校のことを相談できるサポート役の社員も複数人つきます。対象は高校3年生だけでなく、浪人や、一度就職してからの再挑戦も認められています。

―― と、条件だけ並べるとうまい話に見えるからこそ、実際に使った2人の実感を聞いていきます。

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両親からの「就職一本で考えてほしい」から始まった

――まず、お二人がいまどんな仕事をしているか教えてください。

Yさん 業務部で、紙の加工を担当しています。1メートル四方の大きな紙を、お客様の要望に合わせてカットして納品する仕事です。大学は3年前に卒業して、いまは社会人8年目ですね。

Kさん 同じく業務部です。僕は加工前の紙を倉庫から出して、お客様のところへ届ける出庫・荷積みを担当しています。東洋大学の4年生をやりながら、働かせてもらっています。

――Yさんは、もともと進学を諦めかけていたと伺いました。

Yさん 高校3年の頭に家族と進路の相談をしたとき、「就職一本で考えてくれないか」と言われたんです。ただ、どうしても進学は諦めきれなくて。「何かいい方法はないですか」と当時の進路指導の先生に相談したら、「こういう会社がある。とりあえず見学でも何でもいいから話を聞いてみたら」と紹介してもらったのがスタートでした。

――それ以前は、進学するつもりで準備していたんですよね。

Yさん はい。高校2年の時点で進学すると自分の中で決めていたので、そこから逆算して受験勉強を進めていました。高校は周りのほとんどが就職するコースだったので、「働きながら進学します」というのはさらにレアで。進学を決めたとき、先生たちが「絶対成功してね」と背中を押してくれたのを覚えています。

――Kさんはどういう経緯で?

Kさん 僕は「親に迷惑をかけたくない」というのが一番でした。年の離れた弟がいるので、自分のためにこれ以上親に負担をかけたくないなと。かといって国の奨学金を借りると、返済が40代まで続くこともあるじゃないですか。それはちょっと嫌だなと。それで働きながら通える仕組みを探して、いろいろ検討した結果、新聞奨学生と学生社員制度の二つで迷いました。最終的には、生活サイクルを考えると、深夜に新聞配達をするよりも、朝起きて夜眠れるこっちのほうが続けられそうだと思ったんです。</\p>

――親御さんはすんなり納得してくれましたか。

Kさん ちゃんとした説得は、していないんです。「就職してくれればいい」という両親だったので、「親にお金をもらうんじゃなくて、自分で全部やるからいいでしょう」という形で押し切りました(笑)。ただ、体力的に大丈夫なのかという心配はされましたね。

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昼は職場、夜は教室。両立のリアル

――一番気になるところですが、仕事と大学の両立は実際どうですか。夜間だから課題が軽い、ということはないですよね。

Kさん ないですね。取得する単位数は昼間の大学生と変わらないし、課題も同じように出ます。だから本当に、隙間時間を見つけて課題をやって、卒論はコツコツ進めるしかない。計画性がないと、ちょっと厳しいと思います。

――図書館にこもって勉強、みたいなことはできるんですか。

Kさん 大学の図書館は、授業前の30分あるかないかくらいしか入れないんです。なので地域の図書館をよく使っています。使える時間の中でどうやりくりするか、という感じですね。

Yさん 働きながら大学に行くのは、財布は助かるけど、時間の面では確かに大変です。ただ僕の場合は、「両立できている」という事実そのものが自信になって、続ける力につながっていました。

お金の話――「初期投資ほぼゼロ」の意味

――学費は実際、どのように工面していましたか。

Yさん 入学金と1年目の学費は会社が出してくれます。2年目からは自分で払うんですが、毎月の給料のうち5〜6万円を学費用に回して、半期ごとの納入に充てていました。卒業するまでずっと、です。

――月5〜6万円を自分の意思で貯め続けるのは、大変ではなかったですか。

Yさん それが、自分で現金を管理する仕組みじゃないんです。会社に預けておいて、学費が必要になったら引き出す形になっていて。だから道を外れることなく、お金を貯め続けられました。ああいう仕組みがあったからこそだと思います。

――振り返って、この制度の一番のメリットは何でしょう。

Yさん 初期投資にかかるお金がほぼないことです。「進学する」というところのハードルが、ぐっと下がった。これは本当に助かっています。

Kさん 僕もほぼ同じです。奨学金を返しながらではあるんですけど、日々働いている中で、その重みをあまり感じないんですよ。頑張って仕事をしていけば、会社が奨学金の分を負担してくれている。それが素直にありがたいなと。

※学生支援担当の林さんによると、給料やボーナスからの積み立てで、卒業時には平均100万円前後の貯蓄が残る学生社員が多いそうです。学費を払いながら、マイナスではなくプラスで卒業できる計算です。

さまざまな境遇の仲間と暮らす、80人の学生寮

――在学中は寮暮らしだったんですよね。

Yさん はい。いろんな大学の学生を受け入れている寮で、全体では80人くらい。そのうち寶紙業たからしぎょうの学生社員が数人、という感じでした。普段は同じ職場の後輩たちと過ごすことが多くて、「寶紙業たからしぎょうの学生社員」という団結感みたいなものは、当時すごくありました。同じ条件で働いて、通っている仲間なので。

働きながらだから見えた、学ぶ理由

――Kさんは文学部教育学科と伺いましたが、なぜ教育を学ぼうと思ったんですか。

Kさん 高校の頃、弟に勉強を教えていた時期があったんです。弟がテストでいい点を取ってきて、「教えてもらったところができて嬉しかった」と言ってくれたのが、自分もすごく嬉しくて。そこから徐々に教育に興味が出てきました。最初は教員になるのもありかなと思っていたんですが、2年次からは教材開発のほうに関心が移って。いまは卒業論文で「学習意欲を引き出せるドリルとは何か」を調べています。

――Yさんは法学部でした。学んでよかったと思いますか。

Yさん 思います。僕の場合は、将来の夢というより知識欲でした。貪欲に知識を取り込んでやろう、というのがそのまま意欲につながっていて。授業で得た知識を知人や友人に披露して「なるほどね」と言われる瞬間が楽しかったんです(笑)。専門的な知識を学べたこと自体が、行ってよかったといまでも思える理由です

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どんな人に向いている制度か

――最後に、どんな人にこの制度を勧めたいですか。

Yさん 計画性のある行動ができる人ですね。課題の提出も、お金のやりくりも、結局は計画性なので。逆に言えば、それができる人にとっては、環境は全部そろっています。

Kさん 家庭の事情で進学が難しい状況にいる子と、夢や目標を持っている子です。僕自身がそうだったので。


働きながら4年間通い切るのは、二人の話を聞く限り、楽な道ではありません。単位も課題も昼間の学生と同じ量が出るし、月々の積み立ても卒業まで続きます。しかし、「学費が理由で進学を諦める」のと「計画的に頑張れば卒業できる」のとでは、スタートラインがまるで違います。

この制度は、高校3年生だけでなく、一度就職してから「やっぱり大学に行きたい」と思い直した人や、受験に失敗して浪人する場合も受け入れています。進路の紙に「就職」と書く前に――あるいは一度書いてしまった後でも――選択肢の一つとして、眺めてみてください。

制度の詳細・お問い合わせはこちら
寶紙業株式会社たからしぎょうかぶしきがいしゃ 学生社員制度 公式サイト

取材協力
寶紙業株式会社たからしぎょうかぶしきがいしゃ

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