毎日育英会の新聞奨学生が大学入学後にどういう生活をしているのか、リアルなところが気になる方は多いのではないでしょうか?
新聞販売所の職場の雰囲気、1日の流れ、ぶっちゃけ学業との両立はできるのか、他の奨学金と比べてのメリットなど、現在毎日新聞の販売所で新聞奨学生として働いている進藤さんと高橋所長にお話を伺いました。
まずは高橋所長、このお店で独立されたきっかけを教えてください
実は私も新聞奨学生だったんです。学校を卒業後社会に出ていろんな仕事をしたんですが、結局この仕事に戻ってきました。
8年間、私が師匠と呼んでいる湘南茅ヶ崎の新聞販売所で修行を積み、15年前にこちらの販売所で独立しました。
新聞販売所が好きなんですね。どのような点が魅力ですか?
経営者も従業員も、みんな家族みたいな付き合い方ができるのが楽しいです。
それこそ食事や旅行に行くこともありますし、コロナ禍以降はやっていませんが、以前は夕食の食卓をみんなで囲んでいました。
従業員との距離感が近く働けるのは安心感がありますね。
そうですね。ただ、経営者と従業員の利害関係が完全に一致することはありません。
だから大切にしているのは、電車の線路みたいに開きすぎず近すぎない距離感をずっと保って進んでいくことだと思います。
例えば従業員の表情に元気がなかったり、ミーティングでずっと下を向いているような場合は、食事に誘ってみて、向こうから悩みや不満を話しやすいような雰囲気を作るとか。
踏み込みすぎたり言い方を間違えると、人間なのでプライドを傷つけてしまうことがあります。その辺りは毎日すごく気を遣って、お店を運営しています。
そうなんですね。
進藤さん、高橋所長はどんな人ですか?
普段は優しく時に厳しくもある方です。間違えたことは本気で叱ってくれますし、仕事以外でも本当にいろんなサポートや経験をさせていただきました。
色々なアドバイスをいただけるので、私の人生を語る上では欠かせない人です。
そこまで言われると照れますが、私も奨学生を自分の家族、進藤さんであれば娘のように思って接するようにしています。
経済的な理由で進学が難しい状況で悩んだ結果、新聞奨学生の道を選んでいるので、支えてあげる所長としての役割は果たしていきたいなと。
進藤さんは、毎日育英会の奨学金をどのようなきっかけで知ったのですか?
私は母子家庭に育ったのですが、高校生までは全く奨学金を意識していなかったんです。進学校に通っていたし、大学に進学することを当たり前だと思っていました。
でも、具体的に進路を考えないといけない時期になり、希望する大学のことを調べる中で、学費について知るじゃないですか。普段から家計が非常に苦しそうなのを目にしていたので、金額を見て「えっ、この金額お母さん払えるのかな?」と気づいたんです。そこで初めて奨学金について調べ始めました。
色々な奨学金をネットで調べる中で、奨学生の口コミが一番良かったのが毎日育英会の奨学金でした。また、奨学金の返済を大学生時代に全て終えられ、卒業後に借金が残らないというのも選んだ大きな理由です。
自分で全部申し込み手続きを済ませてから、母にそのことを伝えました。「自分で決断した結果だから応援するよ。」と言ってもらえました。
現在どんな勤務体系か教えてください。
この店の周辺の販売所では、朝1時ごろから配達を始めます。大体3時間くらいで終えるので、帰って大学に行く準備をします。月末の土曜日、日曜日はお客様(読者)も在宅していることが多いので、集金で10時から16時くらいまでお客様のお宅を回ることが多いです。また、クレジットカード払いや銀行口座払いのお客様も多く業務は軽減されています。
休日は週に1日あります。
新聞奨学生を体験して、始める前と後でギャップはありましたか?
もちろん朝早くて体力的にきつい仕事というのは分かっていましたし、あとは正直ちょっと店舗が汚いイメージがありました。
でも、実際に働いてみると事務所や作業場など、とても清潔で整理整頓されていましたし、思ったより勉強と仕事の両立ができると思います。もちろん、時間の制限はありますが、平日の実労働時間を短くしていただいているので大学の授業も支障ありません。
この周辺の販売所は午前1時頃から勤務ですが、早く配達をして早く終了しています。
慌てずに、配達を行なえば配達のミスも防げて、配達も時間に余裕を持って行なえます。
勤務を始めたばかりの頃にバイク事故も起こしてしまったので、安全に長く働いてもらうためにも無理をさせてはいけないと私も反省しまして。朝早くから配達して、そのまま大学に行くので不可能ですよね。私も奨学生の経験があるので実感ありますが、寝てしまって午前中の授業を欠席がちになります。それだと新聞奨学生の意味がなくなってしまうので。
新聞奨学生として働いていて良かったと感じる瞬間はありますか?
大学の同級生たちと比べて、少し早く社会に出て働いているので経験値は積めているかなと思います。配達や集金をしていると、本当に様々なお客様がいるので、対応の仕方など勉強になりますし、時にはお菓子をもらえたり優しい言葉をかけていただけるのが嬉しいです。新聞の配達を心待ちにしているお客様のためにも頑張ろうと思います。
また、最近就活に向けて何社かインターンにも行っているんですが、そもそも新聞奨学生をしていること自体が評価されます。すごいねと絶対言ってもらえるので、これから就活の際にもガクチカで使えそうだなと感じています。
おそらく彼女は、これから仕事で海外に出るようなこともあるでしょうから、その際に当販売所でいろんなお客様の対応をしたり、従業員と一緒に働いた経験が生きてくれればいいなと思います。新聞配達では年齢も性格も非常に幅広い人を相手にするので、それこそ文化の違いに直面した時にもうまく対処できるようになるのではないかと。
あとは、これを言うと体育会系な感じにはなってしまいますが、どうしても真冬の酷寒、真夏の酷暑でも配達をしなければならない仕事なので、きつい仕事への耐性はつくと思います。
今朝ちょうどみんなに「今日はすごく寒いから絶対に配達から帰ったらお風呂に入浴剤入れて入ってごらん。最高だから」と話していたんです。
酷寒の配達後の熱々のお風呂の気持ちよさは、この過酷な仕事をした人にしかわからない。辛いことを経験したことで喜びを感じやすくなると思います。多分人にも優しくなれると思う。進藤さんも困っている人のために行動できる人間に、既になっているのではないでしょうか。
進藤さんの将来の目標をお願いします。
私は今、大学でメディア学科に通っており、3DCGや音楽制作関係などのクリエイティブ寄りな勉強をしてきました。今就職を目指しているのはゲーム業界です。シナリオライターになって乙女ゲームの社会的価値を高めるという夢があります。
現状ハマっていることを他人には言いにくい趣味だと思うので、そういう社会からの印象を変えたいですね。年齢や性別を限定せずにいろんな人が乙女ゲームを楽しんでくれるようになったらいいなと思います。
インターン先でもゲームのシナリオやキャラクターの設定に関する制作に携わり、実際にリリースされたものに私の書いた文章を使っていただきました。
それは素晴らしいですね!
最後にこれから奨学金を検討しようと考えている学生のみなさんに、メッセージをお願いします。
毎日育英会の奨学金の一番素晴らしいポイントは、学生のうちに奨学金の返済が終わることです。借金を抱えて社会に出るということがないので、金銭的な制約で社会に出た後の選択肢が限定されないのは安心です。
ただ、新聞販売店での勤務をしながら学生生活を送るのが過酷なのは、間違いありません。だから、自分の中でしっかり覚悟を決めるというか、こういう未来を実現するために大学4年間頑張るんだという軸をしっかり作った上で応募するのがいいと思います。
お店としても親御さんからお子様を預かって4年間しっかり学生としての本分を実現させるという義務があると考えています。無理なく続けられるように最大限のサポートは行いますし、安全第一で怪我なく働いてもらえるようにしっかり見守っていきます。
また、毎日育英会の新聞奨学生には福利厚生的な特典が沢山あり、例えば医療費が無料なんです。業務上の怪我などで病院に行った際にかかる自己負担分も、全員が「毎日奨学生医療共済制度」に加入しているので安心なんです。
では次に、毎日育英会の運営をしている平岡さんに気になることを聞いてみましょう。
毎日育英会の運営にかける想いを聞かせてください。
私自身、都内の学校に通いながら2年間毎日育英会の奨学生として新聞配達をした経験があります。その期間の学業と仕事の両立は正直にいうと、とても大変でした。
その経験があるからこそ、これから新聞奨学生となる学生さんには、希望している進路や夢を叶えられるようにサポートしたいと考えています。
その想いが、今の販売店の温かい雰囲気に繋がっているんですね。
ちなみに、先ほどの進藤さんのインタビューでも「新聞配達は大変だ」という話がありましたが、正直なところ、どれくらいの人が脱落してしまうのでしょうか・・・?
何をもって『脱落』というのかは難しいですが、入店後1ヵ月以内に辞めてしまう人は年により違いますが、1割程度しかいません。
最初の1ヵ月さえ乗り切れば、その後はほとんどの方が継続してます。
1割は、普通のバイトとそんなに変わらない気がしますね。 続く人とそうではない人の違いとかはあるのでしょうか?
最初のモチベーションの高さもありますが、配達技術の向上をイメージできるか?も大きいと思います。
例えば、配達するエリアが250軒あったとして、最初から全部は配達しません。教える方にもよりますが、大抵は100軒くらい教えて実際に配達してもらいます。すると、全てに不慣れですから、100軒配達するにも3時間くらいかかることもあります。徐々に配達軒数を増やしていきます。
でも、段々と効率の良いやり方や道を覚えていくとそれが1ヵ月ぐらいもすれば3時間くらいで配達できるようになります。 それをイメージできるかどうかが、分かれ道になっています。
なるほどそれは確かに、挫折してしまう人の気持ちもわからなくはないですね。
挫折しないために工夫をしていることはありますか?
入学前の3月中は仕事に慣れてもらうため、新聞配達の方法を時間をかけて教えます。誰もが最初からできる仕事なんてないですからね。
やはり学業との両立があってこその新聞奨学生制度ですから。
かなり入会後の研修は充実していそうですね!
ちなみに毎日育英会の奨学生を利用されている方はどんな人が多いんですか?
声優・ゲーム・イラスト業界志望など、いわゆるクリエイター志望の方が多いと思います。割合は3割くらいですね。
将来の見通しが立ちづらい業界なので、借金にならず、在学中に学費を自分で賄えるという点を気に入ってもらえてる印象です。
確かに、在学中に学費を賄えるというのはすごく大きなメリットですね。クリエイター志望が多いというのも意外でした!
ちなみに、大学生活を楽しむ余裕とかってあるんですか・・・?
はい。 実は新聞奨学生の制度も4種類あって、奨学金の高いAコース、集金の免除のBコース、夕刊配達免除のCコース、朝刊コースがあります。
あとは、新聞奨学生制度は1年ごとに更新される制度なので、4年生大学の方なら最初の2年は頑張って、残りの2年は就活等に集中するという方もいます。
それぞれの生活や将来の夢に向かって、うまく制度を活用してもらえればなと考えています。
そうなんですね!ご質問回答ありがとうございました!
全体を通して、運営者様側の「学生の夢を応援したい」「学校と仕事の両立を実現して欲しい」という気持ちがすごく伝わってきました!
新聞奨学生制度は『自分の力で夢を叶えたいと思っている学生』にとって素晴らしい制度だなと思いました。 制度の詳細に関しては毎日育英会公式ホームページで紹介されているので、是非確認してください。
進藤さん、高橋さん、平岡さんありがとうございました!
▼毎日育英会公式ホームページはこちら
https://www.mainichi-ikueikai.com/
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