現在、神戸大学4年生の小坂さん。大学院への進学を予定した彼は現在、生物の研究を日々行っている。理系という忙しい大学生活と、アルバイトの両立をこなしながら夢の実現へと努力する彼に、今回株式会社ガクシーがインタビューを行った。
小坂さんは普段はどんな生活をされているんですか?
ラボ(研究室)にコアタイムというものがあって、「この時間からこの時間まではラボにいてください」って決まっていて、それが朝の9時半から5時までで、その時間はラボにいます。大体いつも5時までに実験が終わるかというとそんなことはなくて(笑)。今日も7時ぐらいまでラボにいて実験などをしていました。土日は休みですね。
結構大変なんですね…。小坂さんは現在どういった研究をされているんですか?
簡単にいうと、生物系の研究をしていて、生物の中でも「老化」に着目した研究をしています。
一般人にわかるくらい簡単に説明していただいてもいいですか?(笑)
そうですね(笑)、老化というと一般的なイメージは、歳をとって皺が増えたり白髪が増えたりだと思うんですけど、それとは違って「細胞の老化」というものを研究しています。で、細胞が老化するってどういうことかというと、例えばその細胞が異常に大きくなったりだとか、細胞の分裂が無限に起こって癌に繋がったりするんですけど、なぜそういった細胞の老化が起こるのかについて研究しています。
研究をしようと思った経緯はどんなものなんですか?
元々高校生の時から生物系は好きだったんですが、生物系に進むことは最初に考えていなくて、美容師になりたかったんです。でも、専門学校に美容師になるには行かないといけなくて。その専門学校には結構お金が必要で、四年制の大学に行くより二年制の専門学校に行く方がお金がかかるんですね。その時に、家庭が兄も姉も四年制の私立の大学に行っていて、自分は大学は国公立に行ってくれみたいな圧じゃないですけど(笑)があって。僕は美容師は一番なりたい職業ではあったんですけど、別に色々やりたいことがあり、そのうちの一つに生物の研究があって、生物系がある大学を調べたら今の大学を見つけて「ここの大学に進んで生物の勉強をしよう」と思ったのがきっかけです。ただ、高校生の時は生物といっても、「生態系」の分野に興味があったんですが、大学に入ってからは自分達の体の中で起こっている現象の方に興味があって、それが「細胞の老化」だったんです。
「細胞の老化」と出会ったタイミングはいつだったんですか?
大学の講義ですね。学部に所属している人がみんな受けないといけない講義がいくつかあるんですが、そのうちの一つに「細胞の老化」の講義がありました。
その時から4年生の時の研究室は「細胞の老化」の研究室に絞っていたんですか?
いや、絞ってはいなくて、一番面白いなとは思っていたのですが、自分の性格的に色んなことに興味を持つので、一度幅広く見てやっぱり「面白いな」と思ってから研究室を絞りました。
小坂さんが細胞の老化を面白いと感じたポイントを教えていただきたいです!
細胞の老化が一番関係あるのが「癌」なんですけど、実は私の祖母も癌で亡くなっていて。認知はされているけど、完全に治療できる病気ではないというのが今の一般的な考えで、「なんで治せないのかな」というのを一番考えたくて、それに関連しているのが細胞の老化だったので、研究してみたくなったんです。
ちなみに、今までの研究はお一人でされたんですか?
一応僕の研究室の年上の学生さんや教授がいるので、個人個人で研究は進めるんですが、協力はしあっています。
では、その研究の中で一番大変だったことはなんですか?
やっぱり予想して、仮説を立てて、研究をしていくんですけど、予想と違う結果が帰ってきた時に、それに対して「なんでなんやろ」と考えるんです。でも考えてもわからない時や、長いスパンで研究して失敗した時に1からやり直さないといけない状況になった時に精神的にも体力的にもキツくなってくるので、そういうところが大変ですね。
「長いスパン」の研究ってどのくらいの間研究されるんですか?
3週間くらいかけて行う実験が今までやった中では一番長かったです。
研究が表に出るタイミングについて知りたいです。
学会というものがあって、同じ研究をしている研究者が集まって研究を発表する所に出ます。僕自身は一度だけ小さい学会に出たことがあります。学会で研究を聞く人たちは、僕の研究を知らないので、色んな疑問が湧いてきて、その時に飛んでくる質問が答えられないような難しい質問や「盲点だな」と思う質問だった時に、自分の実験の穴みないなものを指摘されたようで、ありがたいことなんですが、結構ダメージがくるので大変でした。
そのダメージからの回復方法は?
同じ研究室に配属されている先輩たちと傷を舐め合うというか(笑)。「あんな質問答えられへんよなあ!」って励ましあったりしてますね。
先輩後輩の関係性が結構アットホームなんですね。
はい。サークルを想像してもらったらいいんですけど、先輩後輩の関係性を感じずに喋ることができるので、アットホームですね。
そのアットホームな研究室の中で一番楽しいことはなんでしょうか?
同じラボ内の先輩と研究を発表し合うことがあるんですが、その発表が好きです。自分の研究に役立つこともありますし、知らなかったことを知れる機会というのが一番個人的に楽しいです。また、研究以外ですと、ラボ内で旅行に行ったり、パーティなどの催しが結構あるので、そういうところは楽しいなと思っています。
理系の学生さんはどうしても大変なイメージが拭えないんですが、実際そうなんですか?
4年生に限らず、理系の学生は文系の学生に比べると授業数も多いし、試験も筆記試験ばかりだし、大変でしたけど、慣れればそんなに苦じゃないですし、好きでやってるので。
「好き」をモチベーションにされているんですね!
院進についてお聞きしてもよろしいですか?
4年生で、生物系の人たちが就職する時は、大抵製薬会社や食品の研究職に就職する人が多いんです。でもそういう所に就職するとなると、4年生までに得られる実験の技術や知識だけでは、就職が難しいみたいで。例え大学院に進んだとしても2年で院を卒業したとしても、製薬会社への就職は難しいらしいです。僕は、手を動かして実験するのが好きなので大学院にいくんですが、大学の4年生で卒業したとしても就職が難しいのが、就職せずに院進する一番の理由だと思います。
院進してからのご予定は?
大学院は今通っている大学とは別の大学院に進むんですけど、2年間ではなくて今の段階では、博士課程まで進学して、実験技術を付けたいなと思っています。その先は5年後になるのであまり考えられていないんですが、就職するのか、アカデミアにするのかの2択になるとは思います。
では将来の夢が明確に定まっているわけではないんですね?
就職するにしても、アカデミアに進むにしても、実験して研究してということが自分は好きなので、そういった進路に進みたいとは考えています。
実験して手を動かすことが小坂さんの中でキーポイントになっていると思うのですが、その重要性や楽しさはなんだとお考えですか?
楽しさでいうと、色々考えを巡らせてそれをもとに手を動かしてやった結果が、世間的に病気の解明や治療薬の開発につながることがいいなと思いますし、そう言ったところが実験が世間的に有意義に認められる点だと思っています。
先ほども癌のお話をされたと思うのですが、病気の治療の面に自分の軸があるとお考えですか?
そうですね。
外部の大学院に進学されるのは、そこにどんな魅力があったからなんでしょうか?
今僕の大学でやっている「細胞の老化」の研究をもう少し細かくやっているような研究室に進むのですが、的を絞って研究している所に興味をひかれました。
別の大学院に行かれる受験みたいなものはあるんですか?
受験は一応あって、生物と英語、まあTOEICなんですけど、を提出するのと面接がありました。2ヶ月前に試験は終わって4年生になってからは今の大学の研究と受験勉強を並行してやりつつ、みたいな感じでした。
大学院に進まれる意気込みをお聞きしたいです!
今とガラッと環境が変わるので、そこに行くにあたって今の段階で準備できることは準備してしっかり研究に励めたらなと思っています。
ありがとうございました!