
公益財団法人 樫の芽会は、経済的事由により修学が困難な学生を奨学金制度で支援し、将来社会に有用な人材を育成することを目的に、1961年(昭和36年)に設立された奨学育英団体です。設立当初はわずか4名の奨学生から始まった当会の団体名には、樫の芽のような若者が、やがて大樹へと育つことを願う想いが込められています。
その後、志を同じくする多くの支援者や会員(元奨学生)よって事業は発展し、2009年 (平成21年) に公益財団法人へ移行しました。現在まで、若者の学びを代わらず支え続けており、設立から65年目を迎える今日では、奨学生・会員が1,300名にせまる規模に至っています。
樫の芽会は、次の4つの事業を展開しています。
大学・短大・高専(4・5年生)・高専専攻科・大学院等に在学する学生を対象に、無利子の奨学金貸与と書籍代の給付を行っています。
(2)成績優秀者・善行顕著者の表彰(樫の若木賞)
修学中および卒業後の活動を対象に、努力する若者を表彰する制度です。
2011年(平成23年)の設立50周年を記念して「樫の若木賞」が創設され、修学中あるいは卒業後に優秀な成績を上げた方や善行実施者に表彰、祝い金を贈呈しています。現在までに延べ29名が受賞しています。
(3)その他目的達成のために必要な事業
奨学生・会員・役員が交流を深めるために、奨学生懇談会やセミナーの開催、会報誌の発行などの取り組みを行っています。
年に一度の奨学生懇談会は、当会の最も重要な行事として、50年以上前より開催しています。奨学生・OB/OG・役員が集まり、直接交流する機会を設け、また、大学3年生以上を対象に「学校では学び難い体験」として合宿形式の奨学生セミナーも開催しています。 会報誌『樫の芽会 会報』では、寄稿や活動紹介などを通じて奨学生・会員・役員の交流のきっかけとなる情報誌として、1973年(昭和48年)より発行しています。
(4)奨学活動助成(伴走型就学・学習支援活動助成)
奨学活動助成事業は、様々な困難を抱えている子ども達に対し、マンツーマン又は比較的少人数で向き合い、高校・大学・専門学校等への進学・卒業を支援している非営利型の活動団体を対象とした助成(資金援助)を行っています。(本記事内では概要紹介のみといたします。)
樫の芽会の事業は、このように多面的に展開されています。次章では、その中心となる樫の芽会の奨学金制度について詳しくご紹介します。
①貸与(無利子)+給付金(返還不要)のハイブリッド無利子の貸与金に加え、返還不要の書籍代を給付します。奨学金の使い道は特に問いませんので、学校での学びや将来の資格取得等に活用してください。
- 貸与:月4万円(無利子)×12か月=48万円
- 給付:年2回(4月・10月)に各6万円の給付(書籍代)=12万円 計60万円/年
②ライフスタイルに合わせた返還計画樫の芽会では、貸与終了後、奨学生自身が自らのライフプランに合わせて返還計画を立てる形式を採用しています。
就職・進学・ライフイベントなど、人生の状況に応じて、返還ペースを調整できる制度となっています。
- 返還期間は最長15年以内
- 卒業時に自分で返還スケジュールを決める
- 途中で計画の変更(再提出)も可能
③応募しやすい制度設計樫の芽会の奨学金は、他の奨学金の応募時にありがちな制限が少ないことが大きな特徴です。
幅広い学生が応募できる制度になっています。
- 年齢制限:なし
- 学部学科による制限:なし
- 応募時の所得制限:上限なし
- 併給:日本学生支援機構(JASSO)奨学金、他団体の給付型奨学金は併給可能
他の給付型奨学金との併給も認められており、家庭環境や進路状況に応じて柔軟に奨学金の組み合わせができます。
こうした特徴を持つ奨学金制度について、実際の奨学生がどのように感じ、どのように活用しているのでしょうか。次章では、実際に奨学金を活用している奨学生2名の声をご紹介します。
本章では、樫の芽会の奨学金制度を実際に利用している奨学生の体験談をご紹介します。
T・Iさんは、大学でエネルギー分野を軸に、専門分野の理解を広げるため、関連領域も含め、多面的な学びを深めています。また、営農型太陽光発電の研究補助に携わるアルバイトを通じて、「日本のエネルギーを安定的かつ環境負荷を抑えて供給するためには何が必要なのか」を、実践的な視点から考え続けています。
奨学金を応募したのは、既に日本学生支援機構(JASSO)で奨学金を借りていた際に、樫の芽会の奨学金の存在を知ったことがきっかけだったそうです。樫の芽会は貸与型の奨学金ですが、無利子なこと、貸与金の他にも給付金として書籍代が出ることと、卒業時には成績優秀者の貸与金返還一部免除制度があることで『申請時点の成績や経済状況だけで決まるわけでなく、入会後の努力も評価される』所に魅力を感じたから、と言います。
奨学金の採用前は、家賃や学費の不安から、行きたかった見学会参加を断念する場面もあったそうです。現在は次の半年分の資金見通しが立ち、心理的な負担が軽減され安心して大学生活を送れるようになったと感じているそうです。
樫の芽会のイベントについて印象に残っている出来事として、奨学生セミナーで受講したテーブルマナー講習を挙げています。講習で学んだ和洋のテーブルマナーは、のちに思わぬ形で役立ったそうです。マレーシアでの国際会議に参加した際、現地の王族の方が夕食会へ同席することを急遽伝えられたそうですが、そんな場面でも経験を生かして落ち着いて食事を楽しむことができたと振り返ります。
写真説明:『広島にある大好きな発電所に見学に行った時の一枚です』
H・K さんは、現在配属された研究室での研究成果を地方学会で口述発表しました。今後は全国学会を目標に研究を進めるなど、学業に励む傍ら、大学オーケストラで幹部として活動し、大作であるブラームス「交響曲第1番」に挑戦するなど、学業と並行しながら意欲的に取り組んでいます。
樫の芽会の奨学金を応募した理由は、大学編入を機に「学業をしっかり優先したい」という思いがありました。試験前に十分な学習時間を確保するためには、アルバイト以外に安定した金銭的基盤が必要だと考えたことが背景にあります。また、樫の芽会の応募条件がご自身の状況と合致していたことに加え、課題レポートによって意欲を評価してもらえる点に魅力を感じたそうです。
奨学生となってからは、「学業のために必要なものは購入しよう」という意識がより明確になったとのこと。教科書や参考書など、学びに必要なものをためらわずに用意できるようになったといいます。
奨学生懇談会に参加する際は、全国の大学の学生と交流できることを楽しみにしているとのことです。セミナーにも参加し、和食マナー講義を受けた後には、日常生活でも箸の持ち方を意識するようになるなど、学んだことが生活のささやかな場面に生きていると感じています。
写真説明:『秋の定期演奏会での写真です。』
奨学生の二人の声からは、奨学金の活用によって日々の学びに確かな変化が生まれていることが伝わってきます。
経済的な不安が軽減されることで、参加をためらっていた見学会に行けるようになったことや、授業や研究に必要な書籍をためらわずに購入できるようになったことなど、学びに向き合う姿勢がより前向きになっている様子がうかがえました。
また、懇談会やセミナーなどの交流機会を通じて、他大学の学生とつながることの楽しさや、学んだマナーが思わぬ場面で活かされた経験など、人との関わりから得られる学びの広がりも印象的でした。こうした体験は、学内だけでは得がたい気づきを生み、学生同士の刺激にもつながっています。
さらに、会報への寄稿といった取り組みを通じて、奨学生との関わりを大切にする樫の芽会の姿勢が、安心して学びに取り組める環境につながっていることも感じられます。
奨学生の声はいずれも、「心の余裕」「学びへの前向きさ」「つながりによる視野の広がり」といった変化が生まれていることを示しており、奨学金の活用が日々の学びを確かに支えていることが伝わってきました。
樫の芽会の支援は、無利子貸与と書籍代給付による経済的な支援に加え、懇談会やセミナー、会報を通じた交流の機会など、多面的な取り組みで学生の学びを支えています。奨学金制度では、年齢・学部学科・所得による制限を設けていないため、多くの学生が応募しやすい設計となっています。卒業後の返還についても、自身のライフプランに合わせて計画を立てられるなど、会員に寄り添った仕組みが特徴です。
さらに、奨学生・会員・役員が直接顔を合わせる機会も設けられており、奨学金によって学びを支えるだけでなく、人との関わりを通じて視野の広がりや新たな気づきにつながっています。
樫の芽会はこれからも、多様な活動を通じて若者が学びを継続できる環境づくりに努めてまいります。最新の募集要項や事業内容については、公式ホームページをご確認ください。
樫の芽会 ホームページ
https://www.kashinomekai.or.jp/