現在、大阪でAIによる英語学習の研究をしながら、プログラマーとして、さまざまなシステムを開発してきた東村さん。
彼は三つの奨学金を併用しながら、多彩な趣味を全力で楽しみ、ハッカソンに出場し、上位入賞を納めている。
そんな彼に、今回その原動力についてインタビューしました。
東村さん、本日はインタビューよろしくお願いします。
早速なんですが、東村さんが今何を勉強しているのか、またそのきっかけなどをお聞かせいただければと思います。
僕は今大阪公立大学大学院の情報学研究科に所属しています。
そこで、僕自身は情報工学、現在流行りのITの分野に携わっていて、研究内容としては「人の知能を拡張する」。
どうやったらAIを使って、その人が賢くなれるかの研究をしています。
はい。
特に自分は英語学習の研究をしていて、スマートフォンで英文を読んでいる時の行動データを集めて、その人に合わせた知らない英単語を当てるという研究をしています。
例えば、見たことのないような単語は誰も知らないんですけど、誰もが知っていて自分だけ知らない単語とかは学習する必要が高いので、それを人によってパーソナライズするというものです。
ポートフォリオを持っているので、詳しい詳細はそのサイトを見ていただけると。
東村さんのポートフォリオはこちら→ https://liku-lab.github.io/portfolio/
わあ、すごいですね!これはご自分で作られたんですか?
はい!
なるほど。では、東村さんの情報系の道に進まれるきっかけなどをお聞かせください!
僕自身は情報工学に進む考えはなかったんですけど、元々高校生の時は心理学や脳科学など、人の知能に関わること分野に興味があって大学受験を2回したんですが、落ちてしまって。
結果的に今の大学に進学することになりました、と。
そして入ってからコースをさらに選択できるというのがあって、情報工学であればどんな分野にもアプローチできるなと思って、情報工学に進みました。
では、今考えている「将来これやりたい!」みたいなものはありますか?
データサイエンティストになりたいと考えていて、データの力が日本ではまだまだ生かされていないと感じていて、そういったデータの力を使って日本企業を発展に導いて、「インパクトがある仕事」ができるといいなと考えています。
東村さんが考える「データの力」の具体的な例などあればぜひ聞いてみたいです!
あ〜、具体的に何かあるわけではないんですが、今現在研究で、人のデータを集めています。
しかし、そういったデータから有益な価値を生み出すことはなかなかに難しくて、でも頑張って解析してみると、その中に埋もれた価値あるデータがあるというのを研究の中で発見しているので、データは日本企業においてインパクトな価値のある仕事を創出できるのではないかと思っています。
今の研究自体はどれくらい続けられているんでしょうか
2年ほどですね。
その中で一番大変だったことはなんでしょうか?
一番大変だったのは、お恥ずかしながら僕自身がプログラミングの単位を落としてしまって、研究室に入った瞬間にアプリ開発と機械学習の解析を半年でしなくてはいけなかったんですけど、どちらもしたことがなかったので、半年でどちらも学んでやらなくてはいけないことが一番大変でした。
でもそのおかげで、今年の5月に国際会議に出させていただいたりしたので、あの半年を越えられてよかったなと思います!
将来の夢についてはどうお考えですか?
僕の回答としては、「将来の夢」というものを定めていないです。
そこには理由がありまして、中学生の時に、周りに優秀な方がいまして、そういった方々の夢は「学校の先生」であったり、「お医者さん」であったり、「警察官」であったり、自分の思考の中にある仕事しかなくて、それってすごく限定されていると思ったんですよ。
本当は目に見えていない仕事は沢山あるのに、目標を設定したせいで、思考の幅がすごく制限されている気がして。
なので、僕は将来の夢を設定せずに過ごしています。
だからと言って、何も夢を持っていない訳ではなくて、「世の中にインパクトのある仕事を残したい」と考えています。
そのために近い将来、2、3年先の未来は考えていて、実際に、僕が大学受験や大学院進学の時には情報工学に進むつもりは全くなかったですし、世の中がこんなにIT化するとは思っていませんでした。僕がある意味思考の幅を狭めなかったからこそ、この激動の時代にも対応できているのかなと思います。振り返ってみると、点と点が繋がっているのだなと思います。
このような思考になるきっかけとなったのには何か理由がありますか?
はい、実は浪人時代に出会った恩師がいまして、浪人中に「何で勉強しているんだろう」という思考になったんですね。
そうすると「自分は何で生きているんだろう」と言う思考になり、考えた結果「死ぬまでの暇つぶし」として、死ぬまでに残った時間を全力で楽しもうと思うようになりました。
そして、大学に入ってから色んな企業さんと関わらせていただくようになって、たまたまYahoo! JAPANの方と出会いまして、それ以降週一回オフィスに連れて行っていただいたり、色んな機会がある中で、「セレンディピティ」と言いましょうか。出会った中で「つかむ」ことが重要だなと思うようになりました。
東村さんの思考を変えてくれたYahoo!の方とはどうやって出会われたんですか?
大学1年の時の英語の先生がいたんですけど、その先生は全然英語の授業をしなくて、日本の社会について好きなように喋っているような方だったんですね。
授業が終わった後に、「週に1回社長さんとかが集まる機会があるので、誰か行く人いないか?」と言ったので、私が「一緒に行きたいです」といったところ、行かせてもらいました、と。
そこで、大阪で有名な「大起水産」という鮨屋さんが学生主体でイベントを運用してほしいとおっしゃったので「僕がやりますよ」となって、運営しました。その中でYahoo!Japanのなかで鰻好きの社員さんがいまして、その方が僕を気に入って下さって、そこから仲良くなったという感じですね。
そのイベントの詳細が知りたいです!
大起水産と言う会社が鰻をテーマにした「祭り」、まあ大学の文化祭をイメージしてもらうといいんですけど、それを学生主体で運営すると言うものでした。
色んな出し物があったり、鰻関連のものがあったりって感じのイベントでしたね。
イベント運営で東村さんはどのようなことをしてらっしゃったんですか?
僕以外も含めて合計17人でイベントにおける全ての出し物を決めると言うものでした。
そこでの必要なことがあれば別の企業にアポイント取ったりとかもしてましたね。
一番大変だったのは、イベント当日には17人いる運営の中で僕しか来てなくて、途中でどんどん消えていったことです。
それは大変でしたね、、。じゃあその中でYahoo!の社員さんとは仲良くなったんですね。
はい!
僕が得意としていることで、メンタリズムがありまして、トランプを使って相手の思考を読むと言うのを披露していた時に、それを気に入っていただきました。
ちなみにメンタリズムはいつからやられていたんですか?
最初にお話ししたと思うんですけど、心理学が元々好きで、中学生の時にDAIGOさんがTVに出ていて、僕もできるんじゃないかと思って始めました。
心理学に興味を持ったきっかけは小学生の時に、自分と他人の思考があまりにも違うことに驚いて「何でだろう」と思ったことです。
それが今の研究にも結びついている部分はあると思います。
大学での研究について詳しく聞いていきたいんですが、研究で大切にしていることはありますか?
週1回先生方とミーティングする時に、先生に現況をわかりやすく伝えることを大事にしています。
自分ではわかりやすく伝えたつもりでも、初見の人であればわからないことがあると思います。
なので、初見の人でもわかるように伝える努力はしていますね。
今後この研究をどうしていきたい、など考えていますか?
今後今の英語学習アプリの道に進むのは考えていないのですが、ゆくゆくは自分でアプリの開発はしたいと考えています。
実際に今自分が開発しているアプリをお見せしたいと思うのですが、こんなアプリが世の中に出たらいいなとは思っています。
先ほど、「プログラミングの単位を落としてしまうくらい、そんなに得意ではない」とおっしゃっていましたよね。そんな中でどうやってモチベーションを保っていましたか?
僕の根本に「どうせやるなら全力でやろう」と言うものがあったので、辛くなっても別に死ぬ訳でもないし、失敗しても命を取られる訳でもないので、その考えで辛い時は乗り越えてました。
今の大学生活で研究以外に熱中されていることは何ですか?
基本的には研究中心なんですが、最近はハッカソンなどにも出ていますね。
ポートフォリオにも書かせていただいているのですが、ドコモさんで1位で楽天さんで2位で、富士フィルムさんでMVPを取れました。
素晴らしいですね、、、!
先ほどのポートフォリオを見させていただいたのですが、TOEICなどにも挑戦されているんですね!
TOEICは点数低いので恥ずかしいんですけど(笑)
トビタテにも挑戦されていたんですね。そういった活動は忙しい研究の間にやられていたんですか?
はい、そうですね。
でも、トビタテ自体はコロナで行けなくなってしまって、ドイツに行く予定だったんですが、なくなってしまったんですね。
それで、一旦トビタテはやめて、就職活動をして内定をいただいたんですが、院に進学しました。
来年はドイツに行けたらいいなと思っています。
研究をメインでやっているとおっしゃっていたので、本当に様々な活動をされているんだなあと驚きました。
あんまり恥ずかしくて、自分からは人に言わないからですね。
知っている人は知っていると思うんですが、Japanメンサのメンバーでもあるんですが、それを自分からいうのって恥ずかしいじゃないですか。
なので、こういったポートフォリオにまとめています。
こう言ったポートフォリオはいつ公開されているんですか?
主にインターン先や就職活動の時に公開しています。
全ての初対面の方々にQRコードをはった名刺を渡すという感じですね。
それを見ていただくと、見た中で見た人が気になった部分があればそこから話が始まったりするので。
趣味の話をお聞きしてもいいですか?バックパッカーをやられていたんですね?
高校の時の部活動が登山部で、アウトドアの面に少し知識があって、高校の時の登山部のメンバーと海外でバックパッカーをしたという感じです。
ヨーロッパで2週間弾丸で過ごすみたいなことをしていました。
どうでしたか?
波乱なことが多かったですね。
イギリスやスペインなどに行ったんですけど、友人が先に一人で帰りたいと言い出して、別行動しようってなって、友人にモバイルWiFiを渡してしまったんですね。
それで僕はネット環境がない中過ごすことになってしまって、そういう時にバスに乗った時にバックに手を伸ばされそうになったので、間違ってその人の手をつねってしまったんです。
で、その時は逃げて行ったんですが、バスを降りた後も誰かにずっとつけられていて、全力で逃げました。
そして、これ続きがあって、ネット環境もない中逃げたので、今自分がどこにいるのか分からなくなってイタリア人に英語で話しかけるんですけど、通じなくてめちゃくちゃ困りました(笑)。
東村さんは「インパクトのある仕事を残したい」とおっしゃっていましたが、具体的にはどう言ったことを今は考えていますか。
それでいうと、もうそろそろ就職をするという時に、僕自身は事業会社さん、自分でサービスを持っている会社さんにいきたいと思っていて、その理由は、自分でサービスを立ち上げて世の中に残したいという気持ちがあるので、次の社会人としてのフェーズは色んな方々に利用していただけるようなインパクトのあるサービスを立ち上げたいなと考えています。
ポートフォリオを見ていて「#自分のコンテンツ力で殴る」という一言に惹かれたんですが、これは何ですか?
うまくは言えないんですけど、コンテンツ力ってあるじゃないですか。
それを使って世の中をぶん殴ってやりたいなと思って。
大学のパンフレットにも自分が載っているんですけど、そこでも「コンテンツ力」という言葉を使っています。
何か残してやりたいなと。
自分が持っているものを世の中にぶつけて試してみたいという感じですね。
自分の中の軸を確立するのに大切にしていることとかありますか?
常に世の中に対してアンテナを張るということですね。
街の中で広告を見たときに、なんでこの広告はこのような配置にしているんだろうとか、この企業はなんで広告をTVに打っているんだろうとか、色んな情報にアンテナをはっていると、自分の中に染み込んでくるものがあるので。
東村さんは現在奨学金を3つ併用されているんですよね?
なかなかできることではないのに、そこまで情報を集めているのは東村さんがアンテナを張っているからなんだなと思いました!
どう言った奨学金を受給されているのかお聞きしてもいいですか?
一つは大学経由のものです。
それは大阪の国公立大学の学生限定のものです。
残り二つは、全国誰でも行けるもので、どちらも併給可能なもので、そのうち一個は自宅のすぐ近くにその奨学金の企業さんがあって、そこで知った感じです。
もう一個はネット上で見つけて大学2年生から毎年応募して、毎年面接して、毎年いただいてるというものです。
そして、今回コギダセの奨学金にも応募されたと。
そうですね、その中に自分のポートフォリオを載せました。
200文字の中では無理だったので、「何でも記載可能」という欄に記載した覚えがあります。
生活費も自分で捻出されているんですか?
はい、全部自分ですね。
大変ではあるんですけど、大学に相談しに行ったりとかしたら、(私は)学費はないので、勉強のための資料とかは自分で出さないといけないので、そこは奨学金を頼らせていただいてるんですが、学生課や周りの人に頼ってみると、何とか今耐えているという感じです。
大学生活の中で一番楽しかったこと、辛かったことを教えてください
色んなバックボーンを持った方と出会えたのが、一番楽しいことですね。
常に色んな人と出会うので。大学の中だけじゃなくて、大学の外でも「大学生」という身分だから扱ってもらえることもあるので、大学内外で色んな方と関わることがあって、それは本当に楽しいことだなと思います。
辛かったことは、2つあって、大学の研究室に入った時にやったアプリ開発と、インカレサークルに入った時に、あまりにもバックボーンが違う人を集めすぎて収集がつかないことがあって、それは結構悩みました。その時は、例えば何か一つのことを決めるための投票において「軸」を分けることによって、価値観が違う人たちでも方向性が見えたこともあったと思います。
ありがとうございました。